頻出問題ですので解き方を丁寧に解説します。
第11問 問題
図は、水準点Aから固定点(1)、(2)及び(3)を経由する水準点Bまでの路線を示したものである。この路線で 1 級水準測量を行い、表に示す観測結果を得た。
再測すべき観測区間はどれか。ただし、往復観測値の較差の許容範囲は、S を観測距離(片道、km単位)としたとき、2.5 mm√S とする。
1.A~(1)
2.(1)~(2)
3.(2)~(3)
4.(3)~B
5.再測の必要はない
解答
正解は選択肢3です。
解き方を覚えましょう。表を作るのが、正解にたどり着く近道です。
手順
1.各観測区間ごとの較差を求める。A~B全体の較差は各区間の較差を足して求める。
2.1で求めた較差から許容範囲を計算する。使用する計算式は問題文にて提示されている。
3.1の較差が2の許容範囲を満たしているかチェックする。
すると下のような表がつくれます。
区間ごとにみるとどれも較差が許容範囲に収まっています。
しかし、A~Bの全体較差は許容範囲を超えてしまっています。
この場合、どこかの区間を再測する必要があります。
再測すべき区間は許容範囲と比べて較差の大きい(2)~(3)の区間です。
よって、正解は選択肢3の(2)~(3)です。
この表の緑枠で囲った箇所の計算方法は下記に記します。
(上表の補足)
A~Bの許容範囲の求め方
➀A~Bの距離を求める
380m+320m+350m+400m=1450m=1.45km
➁許容範囲を計算する
2.5√(1.45)=2.5√(145×0.01)=2.5×0.1×√145=0.25×√(5×29)
=0.25×√5×√29 =0.25 ×2.23607×5.38516
=3.01mm
以上、参考になればうれしいです。
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令和2年測量士補試験 解答解説
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コメント
お世話になります。許容範囲の計算で(2)~(3)は、1.4mmになると思います。答えは、1.4790・・・となり許容範囲は、切り捨てとなるはずです。もし往復差が1.5mmとなるとこの区間が再測となります。又、私的には、往復差が一番大きいから再測というのは、疑問が残ります。国土地理院様の答えがそのようであれば、しかたないですが、再測する場合は、例えば天候の急変により復路が雨であったとか、標尺台が移動したかもしれない等何等かの理由が必要かと思います。この場合、往復差が大きいだけで一番あやしいという理由かと思いますが、それだけの理由で再測は、疑問です。私であれば、A~(1)から順次行って行くべきかと思います。
たるじじ様
返信が遅くなり申し訳ありません。
許容範囲に対してギリギリであることが(2)~(3)の区間を再測する理由です。
他の3区間は許容範囲の半分以下の値に収まっているのに対して、(2)~(3)だけが許容範囲
に近い較差となっているためです。
初めまして。いつも参考にさせていただいております。
解き方について質問がございます。
A~Bの許容範囲は0.0030mと出ていますが、これはどのような式で計算されたものでしょうか。
A~Bの観測距離が1.45kmであり、2.5×√1.45という計算式になることはわかるのですが、√1.45のルートの外し方がわかりません。
初歩的な計算の質問で申し訳ありませんが、お手すきの際で構わないのでお返事くださると幸いです。よろしくお願いします。
田中様
√1.45の計算方法について回答いたします。
(解説記事中にも計算過程を追記しました。)
手順➀ 考えやすくするためにルート内から小数点を消す
√1.45 = √145 × √0.01
= √145 × 0.1 (0.1の2乗が0.01なのでルートを外すことができる)
手順➁ 145を分解する(数字の末尾が5なので5の倍数とわかる)
√145 = √5 × √29
= 2.23607 × 5.38516 (関数表より)
まとめ √1.45を求める計算過程
√(1.45)=√145 × √0.01 =0.1 × √145 =0.1 × √5 × √29
=0.1 ×2.23607×5.38516 = 1.204
お忙しいところご回答ありがとうございます。
とても分かりやすい説明で、理解できました。
2.23607×5.38516はどうしても手計算をしないといけないのですね。
大変参考になりました。ありがとうございます。
田中様
基本はそのまま手計算を推奨しますが、下記のように計算を工夫することもできます。
√145≒√144=12 多少は誤差ありますが時間がない場合はこういう考え方も必要かもしれません。
参考までに。