このセミ・ダイナミック補正は2009年に導入されその当時は測地成果2000を基準としていました。しかし、東日本大震災の地震による影響から測地成果2011を元期(げんき)とすることとなりました。
ちょうど10年の節目ということで、出題されたのかなと個人的には考えているところです。
では、問題を見ていきましょう!
第9問 問題
次の文は、公共測量におけるセミ・ダイナミック補正について述べたものである。ア~エに入る適切な語句を選べ。
セミ・ダイナミック補正とは、プレート運動に伴う( ア 定常的な/突発的な) 地殻変動による基準点間のひずみの影響を補正するため、国土地理院が電子基準点などの観測データから算出し提供している(イ 地殻変動補正パラメータ /標高補正パラメータ)を用いて、基準点測量で得られた測量結果を補正し、(ウ 測地成果2011/測地成果2000) (国家座標)の基準日(元期)における測量成果を求めるものである。 (イ) の提供範囲は、全国(一部離島を除く)である。
三角点や公共基準点を既知点とする測量を行う場合であれば、既知点間の距離が短く相対的な位置関係の変化も小さいため、地殻変動によるひずみの影響はそれほど問題にならない。しかし、電子基準点のみを既知点として測量を行う場合は、既知点間の距離が長いため地殻変動によるひずみの影響を考慮しないと、近傍の基準点との間に不整合を生じる。例えば、地殻変動による平均のひずみ速度を約0.2 ppm/yearと仮定した場合、電子基準点の平均的な間隔が約25 kmであるため、電子基準点間には10年間で約 (エ 50/20) mmの相対的な位置関係の変化が生じる。
このような状況で網平均計算を行っても、精度の良い結果は得られないが、セミ・ダイナミック補正を行うことにより,測量を実施した今期の観測結果から、(ウ)(国家座標)の基準日(元期)において得られたであろう測量成果を高精度に求めることができる。
選択肢
ア | イ | ウ | エ | |
1. | 定常的な | 地殻変動補正パラメータ | 測地成果2011 | 50 |
2. | 突発的な | 標高補正パラメータ | 測地成果2011 | 50 |
3. | 定常的な | 標高補正パラメータ | 測地成果2000 | 20 |
4. | 定常的な | 地殻変動補正パラメータ | 測地成果2011 | 20 |
5. | 突発的な | 標高補正パラメータ | 測地成果2000 | 20 |
第9問 解答・解説
正解は選択肢1です。
私はこの問題を間違えました。
エの計算問題がわかりませんでした…。
・ア、イ、ウ
セミ・ダイナミック補正とは、プレート運動に伴う( ア定常的な) 地殻変動による基準点間のひずみの影響を補正するため、国土地理院が電子基準点などの観測データから算出し提供している(イ 地殻変動補正パラメータ )を用いて、基準点測量で得られた測量結果を補正し、(ウ 測地成果2011) (国家座標)の基準日(元期)における測量成果を求めるものである。
→セミ・ダイナミック補正は、プレート運動に伴う「ひずみ」の影響を補正する目的で導入されました。
セミ・ダイナミック補正を詳しく知りたい方は国土地理院HPをご確認ください。
・エ
例えば、地殻変動による平均のひずみ速度を約0.2 ppm/yearと仮定した場合、電子基準点の平均的な間隔が約25 kmであるため、電子基準点間には10年間で約 (エ 50) mmの相対的な位置関係の変化が生じる。
→次の計算で求められます。
ひずみ量(mm) = ひずみ速度(ppm/year) × 経過年数(year) × 点間量(km)
= 0.2 × 10 × 25 = 50mm
ただ、計算がわからなくても解けた問題なのだなとこの記事を書きながら気づきました。
「ア.定常的な」と「ウ.測地成果2011」さえわかれば正解にたどり着ける、選択肢の構成になっていました。
正解は選択肢1です。
気になる方は、ぜひ令和2年度の試験問題を解いてみましょう!
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令和2年測量士補試験 解答解説
第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 | 第6問 | 第7問 | 第8問 | 第9問 | 第10問 | 第11問 | 第12問 | 第13問 | 第14問 |
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コメント
アの答えは 定常的な が正解ではないでしょうか?
測量士補勉強中 様
コメントいただきありがとうございます。
ご指摘いただきました通り、アの答えは「定常的な」でした。
ブログ記事も修正させていただきました。
浅学なため国土地理院HPも合わせて改めて読んでみたのですが、
セミダイナミック補正は2009年からすでにあったと記載があります
https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/positioning_movie.html
誰もが安心して正確な位置情報を使える社会を支えるために
国土地理院では、2009年より、このプレート運動に伴う「地殻変動によるズレ」を補正する仕組みを「セミ・ダイナミック補正」と名づけ、測量分野に導入してきました。今後は、高精度測位社会の到来に向けて(後略)
冒頭の東日本大震災の影響で必要となった、とは
以前よりさらに必要性が増したという意味で捉えたらよいのでしょうか
コメントいただきありがとうございます。
ご指摘の通りセミ・ダイナミック補正は2009年から基本測量・公共測量に導入されております。
ブログ冒頭に「東日本大震災の影響で必要となった」と記載しましたが、セミ・ダイナミック補正が必要となったのはGNSS測量を導入したためです。
記載に誤りがありましたのでブログ内の記載内容を修正しました。