試験問題の引用
令和5年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
測量士補試験の過去問演習ができるページがありますので、
フィードバックいただけると改善の参考にします。
第7問 問題
公共測量におけるトータルステーションを用いた1級基準点測量において、図7に示すように、既知点Aと新点Bとの間の距離及び高低角の観測を行い、表7の観測結果を得た。Dを斜距離、αAを既知点Aから新点B方向の高低角、αBを新点Bから既知点A方向の高低角、iA、fAを既知点Aの器械高及び目標高、iB、fBを新点Bの器械高及び目標高とするとき、新点Bの標高は幾らか。最も近いものを次の中から選べ。
ただし、既知点Aの標高は10.00mとし、Dは気象補正等必要な補正が既に行われているものとする。
なお、関数の値が必要な場合は、巻末の関数表を使用すること。
選択肢
1.190.71 m
2.190.81 m
3.200.71 m
4.200.81 m
5.204.28 m
第7問 解答・解説
正解は選択肢3です。以下、解説。
まずは、問題文中で与えられた条件を図に書き込みましょう。
その他の条件
・両差は不明
・斜距離Dは気象補正、器械定数補正及び反射鏡定数補正が行われている
今回の問題の重要ポイントは「両差がわからない」ことと「高低角が異なっている」ことの2点。
この問題は難しいので➀簡易な解き方 と ➁正攻法の解き方
の2つを紹介します。
解法1)簡略的(いいかげん)な考え方
この問題の嫌なとこは「高低角(αAとαB)がことなっていること」。(あと、角度が細かい数字なので計算が面倒)
ただし、今回は高低角の平均をとると上記解決します。
高低角αA=11°00’05”
高低角αB=-10°59’55”
→高低角の平均は11°00’00”
両差をKと置き、2つの式を立式する。
➀正方向観測(既知点A→新点B)
HB = HA + iA + DsinαA – fB + K
➁反方向観測(新点B→既知点A)
HB = HA + fA – DsinαB – iB – K
➀と➁の式を足すと
2HB = 2HA+ iA+ fA+ DsinαA– DsinαB– fB– iB
ここで、HA=10、 iA= fA=1.5、fB= iB=1.6、αA=11°、αB=-11°より
2HB = 2×10+1.5+1.5+1000×sin11°-1000×sin11°-1.6-1.6
= 20+3+1000×0.19081-1000×(-0.19081)-3.2
= 23 +190.81+190.81-3.2
= 401.42
HB = 401.42 ÷2 =200.71
正解は選択肢3
補足(「両差」の扱い)
両差:(球差-気差)のこと。補正係数と思ってもらえれば良いです。
立式のポイント
・既地点から新点の観測を行う場合は足し算
・新点から既知点の観測を行う場合は引き算
解法2)正攻法の考え方
両差をKと置き、2つの式を立式する。
➀正方向観測(既知点A→新点B)
HB = HA + iA + DsinαA – fB + K
➁反方向観測(新点B→既知点A)
HB = HA + fA – DsinαB – iB – K
2HB = 2HA+ iA+ fA+ DsinαA– DsinαB– fB– iB
ここで、HA=10、 iA= fA=1.5、fB= iB=1.6より
2HB = 2×10+1.5+1.5+1000×sinαA-1000×sinαB-1.6-1.6
= 20 + 3 + 1000×sinαA -1000×sinαB -3.2
= 19.8 + 1000(sinαA – sinαB)
ここで「和積の公式」sinαA – sinαB = 2cos((αA+αB)÷2)sin((αA-αB)÷2)を利用して計算を進める。
sinαA – sinαB =2cos((αA+αB)÷2)sin((αA-αB)÷2)
=2cos((0°00’10”)÷2)sin((22°00’00”)÷2)
=2cos(0°00’05”)sin(11°00’00”)
cos0°00′05″≒1、sin11°00′00″=0.19081であるから
sinαA – sinαB =2×1×0.19081
=0.38162
よって、
2HB = 19.8 + 1000(sinαA – sinαB)
= 19.8 + 1000×0.38162
= 19.8 + 381.62
= 401.42
HB = 401.42 ÷2 =200.71
以上、正解は選択肢3です。
かなり応用的な問題です。
類題で基本的な問題を解きたい方は令和2年第7問を解いてみましょう。
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