試験問題の引用
令和5年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
第4問 問題
次の文は、地球の形状及び測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
1. 地球上の位置を緯度、経度で表すための基準として、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
2.世界測地系において、回転楕円体はその中心が地球の重心と一致するものであり、その長軸が地球の自転軸と一致するものである。
3.GNSS測量で直接得られる高さは、楕円体高である。
4.ジオイド高は、楕円体高と標高の差から計算できる。
5.地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)の座標値から、当該座標の地点における緯度、経度及び楕円体高を計算できる。
第4問 解答・解説
正解は選択肢2です。以下、解説。
令和4年測量士補試験 第4問とかなり酷似した問題です。
選択肢1
正
1.地球上の位置を緯度、経度で表すための基準として、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
そのとおりです。
第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
測量法(e-Gov法令検索)
一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。
2 前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。
第十一条
3 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
測量法(e-Gov法令検索)
一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
地理学的経緯度とは、北緯・南緯・東経・西経のことです。
日本の測地系に関する説明は国土地理院のHPが詳しいです。
近年の例として、令和3年測量士試験(午前)第2問で同様の問題が出題されております。(ちょっとレベル高いかもですが参考まで)
選択肢2
誤
2.世界測地系において、回転楕円体はその中心が地球の重心と一致するものであり、その長軸が地球の自転軸と一致するものである。
誤りです。
× 回転楕円体はその長軸が地球の自転軸と一致するものである。
〇 回転楕円体はその短軸が地球の自転軸と一致するものである。
第十一条
3 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
測量法(e-Gov法令検索)
一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
上記は高頻度ででる問題です。
選択肢3
正
3.GNSS測量で直接得られる高さは、楕円体高である。
その通りです。
ジオイドに関する問題です。ジオイドに関しては国土地理院HPが詳しいので下記のとおり引用します。
衛星測位=GNSS測位
ジオイドとは
日本の標高の基準は、測量法で平均海面と定められています。この平均海面を仮想的に陸地へ延長した面をジオイドといいます。
国土地理院では、重力測量や水準測量の結果などから、地球を仮想的に表した楕円体表面からジオイドまでの高さ(ジオイド高)を決めています。衛星測位で決まる高さ(楕円体高)からジオイド高を引くことで、簡単に標高を求めることができます。
ジオイドを知る(国土地理院HP)
選択肢4
正
4.ジオイド高は、楕円体高と標高の差から計算できる。
そのとおりです。
(ジオイド高) = (楕円体高) – (標高)
選択肢5
正
5.地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)の座標値から、当該座標の地点における緯度、経度及び楕円体高を計算できる。
その通りです。
令和2年測量士補試験第4問にも出題されています。
地心直交座標というのは上図のようにGRS80楕円体の中心を座標(0,0,0)としてあらわす考え方です。
XYZの値で地球上のどの点か位置を指定できますので、地心直交座標系の座標値から緯度経度と楕円体高への変換が可能です。(下の式で変換可能)
以上、選択肢4が誤りでしたので正解は選択肢2です。
↓ほかの問題も見たい方はこちら↓
測量士補試験の過去問解説→記事一覧に飛びます。
測量士補試験におすすめのテキストについて→過去の記事に飛びます。
コメント