令和4年測量士試験(午後) 必須No.1 問B-2を解説

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測量士試験

試験問題の引用

令和4年の試験問題・模範解答は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html

必須No.1 問B-2

問B.次の各問に答えよ。

問B−2.次のe~iの文は、公共測量における測量作業機関の対応について述べたものである。正しいものには〇を、間違っているものには×及び正しい対応を 40 字以内で、それぞれ解答欄に記せ。

e.基準点測量における GNSS 観測の際、アンテナ高を mm 位まで測定するところ、作業員の一人が cm 位で測定していたので、mm 位になるよう数値の桁を増やして 0 を書き足し、作業を続けた。
f.電子納品要領に基づき作成した公共測量成果等を格納した CD-R のウイルスチェックを、測量士又は測量士補の資格を持たない作業者に従事させた。

g.公共測量において車載写真レーザ測量を実施し、納品時提出書類の業務実施報告書の添付資料として取得路線の概略を示す位置図を作成した。位置図の背景には国土地理院のウェブ地図「地理院地図」の標準地図の画像を使用したが、国土地理院への複製承認申請は行わず、出典の記載をせずに使用した。
h.公共測量実施に当たり、作業規程に定めのない新しい測量技術を使用する方が効率的と考え,使用することにした。精度検証結果を報告書にまとめ測量計画機関に提出し確認してもらい、国土地理院の長へ意見を求める行為は測量計画機関より行ってもらった。

i.測量計画機関から検定を受けるように指定があった測量成果について、この測量業務に従事した担当者とは別の、十分な実務経験を有する社内の複数の測量士により自社で検定を行い、検定証明書及び検定記録書を作成し測量計画機関に提出した。

解答

e

e.基準点測量における GNSS 観測の際、アンテナ高を mm 位まで測定するところ、作業員の一人が cm 位で測定していたので、mm 位になるよう数値の桁を増やして 0 を書き足し、作業を続けた。

観測値に誤記や誤読があった際には、再観測することが必要ですので、eの記述は「×」です。

記述がおかしいのは「mm 位になるよう数値の桁を増やして 0 を書き足し、作業を続けた。」というところです。

正しい対処:アンテナ高をmm位で測定し直し、GNSS観測を最初からやり直す。

第2編 基準点測量
(観測の実施)
第37条 観測に当たり、計画機関の承認を得た平均図に基づき、観測図を作成するものとする。
GNSS観測は、次により行うものとする。
ホ アンテナ高は、ミリメートル位まで測定するものとする。

作業規程の準則

f

f.電子納品要領に基づき作成した公共測量成果等を格納した CD-R のウイルスチェックを、測量士又は測量士補の資格を持たない作業者に従事させた。

以下、解答。

間違った対応ではないのでfの答えは「」です。

測量作業に従事するのには資格が必要ですが、電子納品成果のウイルスチェック自体は測量の知識がなくてもできますので、資格は不要です。

きちんと明文化されていませんが、そのことが読み取れる文章が国土地理院HPに載っていましたので引用します。

測量士・測量士補制度には、次のような問題点が指摘されている。
a.測量士・測量士補の役割
 現行の制度では、測量士・測量士補は、専門技術を要する測量の実務者として業務を行うこととなっているが、測量の専門技術として重要な工程管理、品質管理、品質評価等が資格者の役割として明確になっていない。

国土地理院HP

(測量士及び測量士補)
第四十八条 技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、第四十九条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない。
 測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。
 測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。

測量法

g

g.公共測量において車載写真レーザ測量を実施し、納品時提出書類の業務実施報告書の添付資料として取得路線の概略を示す位置図を作成した。位置図の背景には国土地理院のウェブ地図「地理院地図」の標準地図の画像を使用したが、国土地理院への複製承認申請は行わず、出典の記載をせずに使用した。

出典の記載をせずに使用した」という記述が間違った対応ですのでgの答えは「×」です。
ただしい対応例は「複製承認申請が不要な場合でも出典を記載して使用する。

複製承認の要・不要は、国土地理院HPの「複製・使用承認申請から承認までの流れ」と「地図の利用手続ナビ」を確認してみましょう。

今回使用するのは地理院地図の標準地図です。標準地図は基本測量成果ですが、報告書の添付資料として概略位置図のために使用するので、下記より申請不要と判断できます。

不特定多数の者に提供しない)⇒申請不要です。必ず出典を記載の上、ご利用ください。

不特定多数に該当しない例

  • 特定の者に対して提出する申請書、報告書等の添付資料や説明資料として利用
    ※ただし、自治体又は依頼主である特定の者が、その成果品を刊行する場合やインターネット等により公表する場合は、自治体又は特定の者からの承認申請が必要となります。
国土地理院HP

h

h.公共測量実施に当たり、作業規程に定めのない新しい測量技術を使用する方が効率的と考え、使用することにした。精度検証結果を報告書にまとめ測量計画機関に提出し確認してもらい、国土地理院の長へ意見を求める行為は測量計画機関より行ってもらった。

妥当な対応ですので、hの答えは「」です。

第1編 総則
(観測の実施)
第17条 計画機関は、必要な精度の確保及び作業能率の維持に支障がないと認められる場合には、この準則に定めのない機器及び作業方法を用いることができる。ただし、第5条第3項に基づき、各編にその詳細を定める製品仕様書に係る事項については、この限りでない。
計画機関は、この準則に定めのない新しい測量技術を使用する場合には、使用する資料、機器、測量方法等により精度が確保できることを作業機関等からの検証結果等に基づき確認するとともに、確認に当たっては、あらかじめ国土地理院の長の意見を求めるものとする。
国土地理院が新しい測量技術による測量方法に関するマニュアルを定めた場合は、当該マニュアルを前項の確認のための資料として使用することができる。

作業規程の準則

i

i.測量計画機関から検定を受けるように指定があった測量成果について、この測量業務に従事した担当者とは別の、十分な実務経験を有する社内の複数の測量士により自社で検定を行い、検定証明書及び検定記録書を作成し測量計画機関に提出した。

以下、解答。

社内の複数の測量士により自社で検定を行い~」という記述が間違った対応ですのでiの答えは「×」です。
ただしい対応例は「検定に関する技術を有する第三者機関による検定を受ける。

第1編 総則
(測量成果の検定)
第15条 作業機関は、基盤地図情報に該当する測量成果等の高精度を要する測量成果又は利用度の高い測量成果で計画機関が指定するものについては、付録3に基づく検定を受けなければならない。
2 前項の検定は、当該検定に関する技術を有する第三者機関によるものとする。

作業規程の準則

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