試験問題の引用
令和4年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
第18問 問題
次のa~eの文は,公共測量における写真地図の作成について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
a.高層建物が密集している都市部で,建物による影の少ない写真地図を作成するために,太陽高度の高い時間帯を選んで空中写真撮影を行った。
b.建物の倒れ込みの影響が少ない写真地図を作成するために,同一撮影コース内の隣接空中写真との重複度及び隣接撮影コースの空中写真との重複度ができるだけ大きくなるように撮影計画を立てた。
c.撮影縮尺 1/30,000 の空中写真及びグリッド間隔 50 m,標高点の標準偏差 5 m の数値地形モデルを使用して地図情報レベル 2500 の写真地図を作成した。
d.モザイクとは,隣接する空中写真をデジタル処理により結合させ,モザイク画像を作成する作業をいい,モザイク画像を正射変換して正射投影画像を作成する。
e.段差の大きい人工斜面や高架橋が存在する地域において,ブレークライン法を使って数値地形モデルを作成した。
選択肢
1.a,b
2.b,c
3.c,d
4.c,e
5.d,e
第18問 解答・解説
正解は選択肢3です。
以下、解説。
選択肢a
正
a.高層建物が密集している都市部で,建物による影の少ない写真地図を作成するために,太陽高度の高い時間帯を選んで空中写真撮影を行った。
そのとおりです。
選択肢b
正
b.建物の倒れ込みの影響が少ない写真地図を作成するために,同一撮影コース内の隣接空中写真との重複度及び隣接撮影コースの空中写真との重複度ができるだけ大きくなるように撮影計画を立てた。
そのとおりです。
同一撮影コース内の隣接空中写真の重複度は60%、隣接コース間の重複度は30%が基本です。
重複度を大きくした方が建物の倒れ込み影響が少なくなります。

令和2年測量士試験(午前)問19でも同様の選択肢が出題されています。
選択肢c
誤
c.撮影縮尺 1/30,000 の空中写真及びグリッド間隔 50 m,標高点の標準偏差 5 m の数値地形モデルを使用して地図情報レベル 2500 の写真地図を作成した。
×撮影縮尺 1/30,000 の空中写真及びグリッド間隔 50 m,標高点の標準偏差 5 m の数値地形モデルを使用して地図情報レベル 2500 の写真地図を作成した。
(解答の一例)
〇撮影縮尺 1/10,000 の空中写真及びグリッド間隔 25 m,標高点の標準偏差 1 m の数値地形モデルを使用して地図情報レベル 2500 の写真地図を作成した。


上記の表を全部覚える必要はないと思います。
この選択肢は「地図情報レベル2500なのに撮影寸法が1/30,000と小さすぎる」ことに気づければ解けます。
選択肢d
誤
d.モザイクとは,隣接する空中写真をデジタル処理により結合させ,モザイク画像を作成する作業をいい,モザイク画像を正射変換して正射投影画像を作成する。
あやまりです。
×モザイクとは,隣接する空中写真をデジタル処理により結合させ,モザイク画像を作成する作業をいい,モザイク画像を正射変換して正射投影画像を作成する。
〇モザイクとは,隣接する正射投影画像をデジタル処理により結合させ,モザイク画像を作成する作業をいい,モザイク画像を作成し、写真地図データファイルを作成する。

近年では出題のない問題でした。
文の後半は何が正解かよくわかりません。
第408条 「モザイク」とは、隣接する正射投影画像をデジタル処理により結合させ、モザイク画像を作成する作業をいう。
第409条 モザイクは、隣接する正射投影画像の接合部で著しい地物の不整合及び色調差が生じないように行うものとする。
作業規程の準則 第9章写真地図作成より引用
選択肢e
正
e.段差の大きい人工斜面や高架橋が存在する地域において,ブレークライン法を使って数値地形モデルを作成した。
そのとおりです。
第400条 「数値地形モデルの作成」とは、ブレークライン法等により標高を取得し、数値地形モデルファイルを作成する作業をいう。
第401条
作業規程の準則 第9章写真地図作成より引用
3 ブレークライン法によりブレークラインを選定する位置は、次のとおりとする。
一 段差の大きい人工斜面、被覆等の地性線
二 高架橋及び立体交差の両縁
三 尾根若しくは谷又は主な水涯線
四 地形傾斜の連続的な変化を表す地性線
五 その他地形を明確にするための地性線
以上、正解は「選択肢3」でした。

令和4年測量士試験の解説は随時更新予定です。
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