河川測量の基本を解説(定期縦横断測量)

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測量用語解説

測量士補試験の範囲の1つである応用測量の中の河川測量について解説していきます。

河川測量の基礎から解説し、定期横断測量、定期縦断測量が理解できるように図を用いながら説明していきます。

ちーたら
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このページは「河川定期縦横断測量業務実施要領・同解説(平成30年3月)」を参考に記載しております。

1.河川測量の基礎知識(流心、河川距離標、河川水準基標)

まずは、河川測量に関する知識をつけるために必要な基礎知識について説明します。

1)流心・流向(リュウシン・リュウコウ)

流心:川の流れの中心を結んだ線(下図参照)、一番流れが速い。

流向:川の流れる方向。山から海へ、上流から下流へ流れる。

山側を上流、海側を下流と呼びます。

左岸右岸(サガン・ウガン)の考え方:
上流から下流を眺めたときの左手側が左岸、右手側が右岸。
川が流れる先を向いたときの左手側が左岸、右手側が右岸。

2)河川距離標(キョリヒョウ)

大きな河川の堤防を散歩してことがある方は見たことがあると思いますが、「○○川左岸○○.〇km」という河口からの距離を書いた看板のことを河川距離標といいます。

この距離標はだいたい0.2kmごとに設置されています。
ここで記載されている〇〇.〇kmというのは流心からの距離で堤防の距離ではないことに注意してください。

左右の距離標を結んだ線と流心線は直交します。

下図から解説します。1.4k,1.2kというのは先ほども書きましたが、流心の距離です。距離標間の距離ではありません。湾曲している部分に関して、左岸の距離標間の距離は.02kmより短く右岸は0.2kmより長い距離となるはずです。

堤防を散歩するときに距離の参考にしている方、ご注意ください。

そしてこの距離標の近くには次に説明する「河川水準基標」というものが設置されています。

3)河川水準基標(スイジュンキヒョウ)

こんなかんじで堤防にコンクリートや石が埋まっています。座標(位置、高さ)を管理するものなので、もっとしっかり動かないように固定されています。

水準基標の近くには河川距離標がありますので、何キロ地点の基標かすぐに見分けがつきます。

2.河川定期横断測量(定期測量意味、測線位置、深浅測量)

定義:定期横断測量は、設定された測量断面上の断面形状について距離標から距離及び標高を測定する。

河川の中の河床の変化、堤防高さを把握するために定期的に測量するものです。一般的には下図のようなものがイメージしやすいと思います。

どこの横断面かというと、左右岸の1.4km距離標を結んだ線上です。

なお、水中の測量のことを深浅測量と呼びます。胴長を着たり、ボート等を使って測量します。

3.河川定期縦断測量

そもそも河川における縦断測量とはどうのようなものか。

定義:縦断測量では、左右岸の距離標の標高並びにそれを基準とした堤防の変化点の地盤高及び主要な構造物についての位置と標高を測定する。

縦断測量のことを一言でいうと、川の両端にある堤防の高さを上流から下流にかけて測量することです。これをすることでどこの堤防が低いか判断することができるようになります。

測量の成果として縦断図というものがあります。これは下図のようなイメージです。
標高なので、基本的には上流のほうが高いです。

4.例題(R2測量士補試験)、解説

私が受験した令和2年測量士補試験において、河川測量に関する問題が1問出題されていましたので選択肢の1つ1つを見ていきます。

試験問題、解答はこちらから引用しております。

測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例 | 国土地理院

例題

問28 次の文は、公共測量における河川測量について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。

測量士・測量士補試験の試験問題 国土地理院

選択肢① 水準基標測量とは、定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業をいう。

選択肢② 水準基標は、水位標に近接した位置に設置するものとする。

選択肢③ 定期縦断測量は、左右両岸の距離標の標高並びに堤防の変化点の地盤及び主要な構造物について、距離標からの距離及び標高を測定するものとする。

選択肢④ 定期横断測量は、陸部において堤内地の20m~50mの範囲についても行う。

選択肢⑤ 深浅測量とは、河川などにおいて水深及び測深位置を測定し、縦断面図データファイルを作成する作業をいう。

解説

→選択肢①。あの石みたいな基標の高さを定める測量のことを水準基標測量と呼びます。その測量で定めた水準基標の高さを基に縦断測量、横断測量を実施します。

→選択肢②。だけどめっちゃ判断に迷いました。水位標は主要な地点にしか設置しません。橋の近くとかにあります。水位標はこんな感じ(適当でごめんなさい)です。洪水の時に水位が何mまで上がっているかを目視判読するために使用されます。問題文にあるとおり水準基標と水位標は近い位置にあります。

→選択肢③。これは問題文のとおりですね。

→選択肢④。横断測量では堤内地盤高を測量します。ちなみに堤内地とは我々が生活している側のことです。反対に堤防を基準に河川側のことを堤外地と呼びます。

→選択肢⑤。深浅測量の説明は正しいですが、「縦断面図データファイルを作成」というところが異なります。深浅測量は縦断測量ではなく横断測量で実施します。

河川の流量観測に関する解説記事も書いています。

河川流量観測の目的を解説

5.参考資料

「河川定期縦横断測量業務実施要領・同解説(平成30年3月)」

https://www.mlit.go.jp/river//shinngikai_blog/lp_kentoukai/dai03kai/dai03kai_siryou2.pdf

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