イメージできれば簡単なはずです
問題
次の a ~ c の文は、国際地球基準座標系(以下「ITRF」という。)について述べたものである。 「ア」〜「オ」に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか。表の中から選べ
a. ITRF は、GNSSやVLBIなどの宇宙測地技術の観測データに基づいて国際地球回転・基準座標系事業(IERS)が提供する地心直交座標系である。その座標系は、地球の重心を原点とし、X軸を経度0度の子午線と赤道との交点の方向に、Y 軸を「ア」の方向に、Z軸を北極の方向に定義されている。
b. 地球上での位置を表すための基準となる回転楕円体及び地心直交座標系は、国によってその組合せは異なる。日本では、「イ」楕円体とITRFを採用しており、「イ」楕円体の短軸は、ITRF の「ウ」と一致している。
c. 日本の位置をITRFで表すと、X、Y、Zの値域は、「エ」である。また、九州から北海道に向かうベクトル(ΔX、ΔY、ΔZ )の符号は、「オ」となる。
ア | イ | ウ | エ | オ | |
1 | 東経90度 | GRS80 | Z軸 | X<0, Y>0, Z>0 | (負, 負, 正) |
2 | 東経90度 | WGS84 | X軸 | X<0, Y>0, Z>0 | (負, 負, 正) |
3 | 西経90度 | WGS84 | X軸 | X>0, Y<0, Z<0 | (正, 正, 負) |
4 | 東経90度 | GRS80 | Z軸 | X<0, Y<0, Z>0 | (負, 正, 正) |
5 | 西経90度 | GRS80 | X軸 | X<0, Y<0, Z>0 | (負, 正, 正) |
解説
正解は選択肢1です。
aの文
ITRF は、GNSSやVLBIなどの宇宙測地技術の観測データに基づいて国際地球回転・基準座標系事業(IERS)が提供する地心直交座標系である。その座標系は、地球の重心を原点とし、X軸を経度0度の子午線と赤道との交点の方向に、Y 軸を「東経90度」の方向に、Z軸を北極の方向に定義されている。
aの文章中でITRFのことで覚えるべきは次の2つ
・ITRFの原点と地球の重心は一致している
・ITRFはX軸を経度0度の子午線と赤道との交点の方向に、Y 軸を東経90度の方向に、Z軸を北極の方向に定義
【参考情報】
経度0度の子午線=本初子午線=ロンドン・グリニッジを通る子午線
東経90度の子午線を通る国:ロシア、中国、インド
bの文
地球上での位置を表すための基準となる回転楕円体及び地心直交座標系は、国によってその組合せは異なる。日本では、「GRS80」楕円体とITRFを採用しており、「GRS80」楕円体の短軸は、ITRF の「Z軸」と一致している。
この文章で覚えるべきは次の2点
・日本ではGRS80楕円体とITRFを採用
・GRS80楕円体の短軸とITRFのZ軸と一致
cの文
日本の位置をITRFで表すと、X、Y、Zの値域は、「X<0, Y>0, Z>0」である。また、九州から北海道に向かうベクトル(ΔX、ΔY、ΔZ )の符号は、「(負, 負, 正)」となる。
日本は東経135度。
Xの正の範囲は西経90度~0度、東経0度~90度。
→日本の位置はX<0。
Yの正の範囲は東経0度~180度。
→日本の位置はY>0。
Xの正の範囲は北半球。
日本は北半球なのでX>0。
九州から北海道に向かうベクトル
ΔXについて:九州より北海道は東経180度に近いので、負。
ΔYについて:九州より北海道は東経90度に遠いので、負。
ΔZについて:九州より北海道は北に位置するので、正。
参考
東経、西経の考え方
イギリスロンドンにあるグリニッジ天文台跡を通る南北の線を0度として、東西それぞれ180度まで表します。 東回りを東経、西回りを西経と呼んでいます。 東経180度と西経180度は同じ場所を示します。 南北に線を子午線といい、グリニッジ天文台後を取る基準となる子午線を本初子午線と呼びます。
家庭教師のアルファ
↓令和2年測量士試験(午前) 解答解説↓
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