令和5年測量士試験(午前) 第1問(法規の正誤)を解説

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測量士試験

試験問題の引用

令和5年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html

第1問 問題

 次のa~eの文は,測量法(昭和 24 年法律第 188 号)に規定された事項について述べたものである。明らかに間違っているものだけを全て含む組合せはどれか。次の中から選べ。

a.公共測量とは、その実施に要する費用の全部又は一部について国又は公共団体の負担を受けて行われる測量をいい、国又は公共団体からの補助を受けて行う測量を含まない。

b.測量計画機関は、公共測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、関係市町村長に通知するとともに、インターネット等で公表しなければならない。

c.山林原野等で基本測量を実施する者は、あらかじめ所有者等の承諾を得ることが困難であり、かつ植物又は垣、柵等の現状を著しく損傷しないときは、承諾を得ずにこれらを伐徐できる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者等に通知しなければならない。

d.基本測量の測量成果及び測量記録の謄本又は抄本の交付を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土地理院の長に申請をしなければならない。

e.基本測量及び公共測量以外の測量とは、基本測量及び公共測量以外の測量成果を使用して実施する測量をいう。

選択肢
1.a, b, e
2.a, c, d
3.a, d
4.b, c, e
5.c, d

第1問 解答・解説

正解は選択肢1です。
以下、解説。

選択肢a


a.公共測量とは、その実施に要する費用の全部又は一部について国又は公共団体の負担を受けて行われる測量をいい、国又は公共団体からの補助を受けて行う測量を含まない。

問題文前半は正しいですが、後半は誤った記述です。
×国又は公共団体からの補助を受けて行う測量を含まない
国又は公共団体からの補助を受けて行う測量を含む

第一章 総則
第一節 目的及び用語
(目的)
第一条 この法律は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量又はこれらの測量の結果を利用する土地の測量について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図り、もつて各種測量の調整及び測量制度の改善発達に資することを目的とする。

測量法(e-Gov法令検索

選択肢b


b.測量計画機関は、公共測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、関係市町村長に通知するとともに、インターネット等で公表しなければならない。

×測量計画機関は、公共測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、関係市町村長に通知するとともに、インターネット等で公表しなければならない。
測量計画機関は、公共測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、関係都道府県知事に通知するとともに、インターネット等で公表しなければならない。

関係法令を下記のとおり示す。第二十一条はかなり頻出の条文なので第一項のみならず第二、三項も内容を覚えましょう。

第二章 基本測量
第一節 計画及び実施
(永久標識及び一時標識に関する通知)
第二十一条 国土地理院の長は、基本測量において永久標識又は一時標識を設置したときは、遅滞なく、その種類及び所在地その他国土交通省令で定める事項を関係都道府県知事に通知するとともに、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、その旨を関係市町村長(特別区の区長を含む。次項及び第三十七条第二項において同じ。)に通知しなければならない。
 市町村長は、基本測量の永久標識又は一時標識について、滅失、破損その他異状があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を国土地理院の長に通知しなければならない。

(基本測量に関する規定の準用)
第三十九条 第十四条から第二十六条までの規定は、公共測量に準用する。この場合において、第十四条から第十八条まで、第二十一条第一項及び第二十三条中「国土地理院の長」とあり、並びに第十九条及び第二十条中「政府」とあるのは「測量計画機関」と、第二十一条第三項並びに第二十四条第一項及び第二項中「国土地理院の長」とあるのは「当該永久標識又は一時標識を設置した測量計画機関」と、第二十二条及び第二十六条中「国土地理院の長」とあるのは「公共測量において測量標を設置した測量計画機関」と、第二十二条中「得ないで、」とあるのは「得ないで、当該」と、第二十四条第三項中「国土地理院の長」とあるのは「公共測量において永久標識又は一時標識を設置した測量計画機関」と、第二十五条中「国土地理院の長は、」とあるのは「公共測量において仮設標識を設置した測量計画機関は、当該」と、第二十六条中「基本測量以外の測量」とあるのは「測量」と、「得て、」とあるのは「得て、当該」と読み替えるものとする。

測量法(e-Gov法令検索

その他、関係する知識も記載します。
・永久標識又は一時標識の設置に関する通知を受けた都道府県知事は、遅滞なく、その旨を関係市町村長へ通知しなければなりません(法第21条第2項)。
・測量計画機関は、永久標識を設置した場合は、遅滞なく、それらの情報を国土地理院の長(法第37条第3項)に通知しなければなりません。

下図にしめすとおり、公共測量における測量計画機関が通知する先は関係都道府県知事のみです。
唯一、関係市町村長と直接やりとりが生じるのが法第37条第2項の「公共測量を実施する者は、関係市町村長に対して当該測量を実施するために必要な情報の提供を求めることができる。」です。

国土地理院HP 公共測量とは

選択肢c


c.山林原野等で基本測量を実施する者は、あらかじめ所有者等の承諾を得ることが困難であり、かつ植物又は垣、柵等の現状を著しく損傷しないときは、承諾を得ずにこれらを伐徐できる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者等に通知しなければならない。

そのとおりです。

第二章 基本測量
第一節 計画及び実施
(障害物の除去)
第十六条 国土地理院の長又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、基本測量を実施するためにやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て、障害となる植物又はかき、さく等を伐除することができる。

第十七条 国土地理院の長又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、山林原野又はこれに類する土地で基本測量を実施する場合において、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、植物又はかき、さく等の現状を著しく損傷しないときは、前条の規定にかかわらず、承諾を得ないで、これらを伐除することができる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者又は占有者に通知しなければならない。

測量法(e-Gov法令検索

第17条にも第39条が効くため「国土地理院の長」を「測量計画機関」と読み替えることができる。

選択肢d


d.基本測量の測量成果及び測量記録の謄本又は抄本の交付を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土地理院の長に申請をしなければならない。

そのとおりです。

第二章 基本測量
第一節 計画及び実施
(測量成果の公開)
第二十八条 基本測量の測量成果及び測量記録の謄本又は抄本の交付を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土地理院の長に申請をしなければならない。
 前項の規定により謄本又は抄本の交付の申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

測量法(e-Gov法令検索

選択肢e


e.基本測量及び公共測量以外の測量とは、基本測量及び公共測量以外の測量成果を使用して実施する測量をいう。

×基本測量及び公共測量以外の測量とは、基本測量及び公共測量以外の測量成果を使用して実施する測量をいう。
基本測量及び公共測量以外の測量とは、基本測量及び公共測量の測量成果を使用して実施する測量をいう。

第一章 総則
第一節 目的及び用語
基本測量及び公共測量以外の測量
第六条 この法律において「基本測量及び公共測量以外の測量」とは、基本測量又は公共測量の測量成果を使用して実施する基本測量及び公共測量以外の測量(建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く。)をいう。

測量法(e-Gov法令検索

このeについては確実にこたえたいですね。第6条は()の中の文章もよく問われますので覚えましょう。

公共測量における各種手続きは頻出ですから、得点源にしましょう!

以上、正解は「選択肢1」でした。

ほかの問題も見たい方はこちら
測量士試験(午前)の過去問解説→記事一覧に飛びます。

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