令和4年測量士試験(午後) 選択No.3 問Bを解説

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測量士試験

試験問題の引用

令和4年の試験問題・模範解答は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html

選択No.3 問B

問B.B 市では,東西 19 km,南北 14 km の平たんな地域について,公共測量により,以下に示す撮影条件で,デジタル航空カメラを鉛直下に向けた空中写真の撮影を行うこととした。次の各問に答えよ。
 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。

撮影条件
・デジタル航空カメラは,画面距離 9.2 cm,画面の大きさ 15,552 画素 × 14,144 画素,撮像面での素子寸法 5.6 μm とし,画面の短辺は撮影基線と平行とする。
・GNSS/IMU 装置を使用して撮影を行う。
・撮影コースは東西方向とする。
・南北両端の撮影コースでは,撮影区域の外側を画面の大きさの 20 % 以上含むように撮影する。
・各撮影コースの両端は,撮影区域の外側に各 1 モデル分撮影する。
・撮影基準面の標高は地表面の標高と同じ 100 m とし,撮影基準面における地上画素寸法は 20 cm とする。
・撮影基準面における同一撮影コース内の隣接写真との重複度を 60 %,隣接撮影コースの空中写真との重複度を 30 % とする。

問B- 1
 撮影基線長を m 単位で求め,小数第 1 位を四捨五入し,解答欄に整数で記せ。

問B- 2
 最少コース数を求め,解答欄に記せ。

問B- 3
 最少撮影枚数を求め,解答欄に記せ。

問B- 4
 海面からの撮影高度を m 単位で求め,小数第 1 位を四捨五入し,解答欄に整数で記せ。

解答

B-1

問B- 1
 撮影基線長を m 単位で求め,小数第 1 位を四捨五入し,解答欄に整数で記せ。

解答.1,132m

算出方法は下記のとおり。

問題文にて与えられている条件のうち、下記条件を使用する。
・撮影コースは東西方向
・画面の短辺は撮影基線と平行
・画面の短辺の画素数は14,144 画素
・撮影基準面における地上画素寸法は 20 cm
・同一撮影コース内の隣接写真との重複度を 60 %

上記条件より、地上での写真1枚の撮影幅(短辺)は
14,144 × 20cm = 282,880 cm = 2,828.8 m

重複度60%であるから、求める基線長は
2,828.8 m – ( 2,828.8 × 0.6 ) = 1131.52 ≒ 1132 m

問題文に「撮影基線長を m 単位で求め,小数第 1 位を四捨五入し,解答欄に整数で記せ。」と指示ありますので、解答記述の際は気を付けましょう。

B-2

問B- 2
 最少コース数を求め,解答欄に記せ。

解答.7コース

算出方法は下記のとおり。

問題文にて与えられている条件のうち、下記条件を使用する。
・撮影コースは東西方向
・画面の長辺(南北方向)の画素数は15,552 画素
・撮影基準面における地上画素寸法は 20 cm(=0.02m)
・隣接撮影コースの空中写真との重複度30%
・南北両端の撮影コースでは,撮影区域の外側を画面の大きさの 20 % 以上含むように撮影

下図のうち、写真1枚の撮影幅(長辺:南北方向)は
15,552画素 × 0.2 m(地上画素寸法)= 3110.4m

隣接撮影コースの空中写真との重複度30%であるから、隣接コース間距離は
3110.4 m – ( 3110.4 × 0.3 ) = 2177.28 ≒ 2177.3 m

次の計算でコース数(nc)を求める
3110.4m + 2177.3 m(nc-1) ≧ 14 km + 3110.4m×0.2×2
3110.4m + 2177.3 m(nc-1) ≧ 14×103 m + 3110.4m×0.2×2
3110.4 + 2177.3 nc -2177.3 ≧ 14000 + 1244.16
2177.3 nc ≧ 14,311.06
nc ≧ 6.5728…

よって、求める最小コース数は7

直上の式の解説をします。

左辺(3110.4m + 2177.3 m(nc-1))について
3110.4mは撮影1コース目で撮れる範囲。
2177.3(nc-1)は2,3,…nc番のコースで新たに撮影できる範囲。(オーバーラップしてない範囲)

右辺(14 km + 3110.4m×0.2×2)について
14kmは東西方向の計測対象範囲。
160×0.4×2は問題文中の「南北両端の撮影コースでは、計測対象範囲の外を画面の大きさの 20 % 以上含むように撮影する。」を計算した場合の範囲。(×2は両端なので)

B-3

問B- 3
 最少撮影枚数を求め,解答欄に記せ。

解答.140枚

(7コース×進行方向の撮影枚数)で求めることができる。

問題文+上記までに算出された計算条件
・撮影コースは東西方向
・東西 19 km
・基線長1131.52 m

進行方向の撮影モデル数は、
19km ÷ 1131.52m
= 19000 ÷ 1131.52
= 16.79…=17モデル

直上の式でなぜ1131.52mで割ったのか?
計測範囲外で1モデル撮影済みのため。
計測範囲内の2モデル目以降は1モデルあたり1131.52mの長さであるため。

さらに、問題文中「 各撮影コースの両端は,撮影区域の外側に各 1 モデル分撮影する。 」より
17モデル+2モデル=19モデルが必要とわかる。

1モデル目は最初にとる写真と2枚目にとる写真が重なる2,828.8m×0.6=1697.28m。2モデル目は3枚目に撮影する写真とそれまでにとったの写真が重なる1131.52m。同様の考え方をすると、3モデル目以降は1モデルあたりの長さは1131.52mとわかる。

19モデルを撮影するために必要な写真枚数は20枚

nモデルを撮影するために必要な写真枚数は(n+1)枚です。

写真測量 基本の考え方:
2枚の写真が重なるところは立体視できる(三角測量の原理から座標が算出可)。

用語の考え方:
モデル→少なくとも2枚の写真が重なる箇所

以上より求める答えは
7コース×20枚 = 140枚

・問題文中「 各撮影コースの両端は、計測対象範囲の外に各1モデル分撮影する。 」の解釈方法について

UAVを用いた公共測量マニュアル(案)(該当ページ26)」に撮影する写真のイメージという図があります。下図のとおり計測対象範囲の外側に1モデル撮影することが基本です。(つまり1モデル分は計測範囲から完全に外にでている必要があります)

UAVを用いた公共測量マニュアル(案)

1モデル分が計測範囲から外れているという条件での計算が必要なため、撮影モデル数を計算するときに計測すべき延長を基線長で割る計算方法を採用します。

B-4

問B- 4
 海面からの撮影高度を m 単位で求め,小数第 1 位を四捨五入し,解答欄に整数で記せ。

解答.3,386m

算出方法は下記のとおり。

・問題文にて与えられている条件を図示する。

撮影基準面から撮影位置までの高さHを求める。
H = 92×10-3m × 0.2m / ( 5.6×10-6m )
= 3,285.71…m
 ≒ 3,285.7m

ここで、問題文中の「撮影基準面の標高は地表面の標高と同じ100m」より求める海面からの撮影高度は、
100m + 3,285.7m = 3,385.7m= 3,386m

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