試験問題の引用
令和4年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
第16問 問題
次の文は,トータルステーション(以下「TS」という。)を用いて高低差を求める場合の精度(標準偏差)を計算した過程を示したものである。 ア ~ オ に入る数値の組合せとして最も適当なものはどれか。次のページの中から選べ。
ただし,角度 1 ラジアンは,(2 × 105)” とする。
なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
TS を用いて,放射法により既知点 A から求点 B までの高低差を求めるものとする。既知点 Aから求点 B までの距離を D,高低角を θ,高低差を Z とすると,位置関係は図 16 のようになり,高低差 Z は式 16-1 で表される。
ここで,斜距離 D,高低角 θ それぞれの観測値の標準偏差を σD,σθ とした場合の,高低差 Zの標準偏差 σZ を求めることにする。
ただし,既知点Aから求点Bを観測した測定値は,斜距離の測定距離 D0 = 100.000 m,高低角 θ0 = 30°00’ 00″,使用した TS の距離測定の精度(標準偏差)は(5 + 5 × 10-6D)mm(D は mm 単位の測定距離),角度測定の精度(標準偏差)を 5″ とする。
また,TS による距離測定と角度測定は互いに影響を与えないものとし,その他の誤差は考えないものとする。
斜距離 D と高低角 θ の観測が互いに独立であることから,両者の共分散は 0 となる。それぞれの観測値の分散を σD2,σθ2 とした場合,高低差 Z の分散 σZ2 は,誤差伝播の法則から式 16-2 で求められる。
D = D0,θ = θ0 のときの具体的な数値は,距離の単位を mm,角度の単位をラジアンとすると次のように計算できる。
選択肢
ア | イ | ウ | エ | オ | |
1. | 0.5 | 2.75 | 50.000 | 0.000025 | 1.86 |
2. | 0.5 | 5.5 | 50.000 | 0.000025 | 3.02 |
3. | 0.5 | 5.5 | 86.603 | 0.000025 | 3.50 |
4. | 0.87 | 2.75 | 86.603 | 0.000050 | 4.95 |
5. | 0.87 | 10.0 | 50.000 | 0.000050 | 9.05 |
第16問 解答・解説
正解は選択肢3です。
以下、解説。
標準偏差は苦手分野なので解き方だけ…
空欄ア
アを求めるためにf(D,θ)をDで微分する。
f'(D,θ) = sinθ
θ=θ0のときの値が空欄アに当てはまる。
高低差θ0は問題文より30°
sin30°=0.5
空欄イ
斜距離Dの標準偏差σDを求める。
問題文より「使用した TS の距離測定の精度(標準偏差)は(5 + 5 × 10-6D)mm(D は mm 単位の測定距離)」、「斜距離の測定距離 D0 = 100.000 m」
σD = 5 + 5×10-6×100000=5+0.5 =5.5
空欄ウ
ウを求めるためにf(D,θ)をθで微分する。
sinθを微分するとcosθです。
f'(D,θ) = Dcosθ
θ=θ0=30°、D=D0=100.000 mのときDcosθは
D0cosθ0 = 100000 × cos30°=100000×0.86603=86603
問題文中で距離の単位はmmとすると記載があります。
空欄エ
問題文中の「角度 1 ラジアンは,(2 × 105)” 」、「角度測定の精度(標準偏差)を 5″」、「D = D0,θ = θ0 のときの具体的な数値は,距離の単位を mm,角度の単位をラジアンとすると次のように計算できる」から空欄エは次の式で求まる。
問題文中で角度測定の標準偏差は5”とあるので、それをラジアンに変換するだけです。
5” ÷ (2×105) = 0.000025
空欄オ
ア~エの答えを式16-2に代入してオを求める。
0.52 × 5.52 +866032 × 0.0000252 ≒ 12.25
√12.25 = 3.5
以上、正解は「選択肢3」でした。
令和4年測量士試験の解説は随時更新予定です。
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