令和5年測量士試験(午前) 第7問(TSの距離の測定)を解説

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測量士試験

試験問題の引用

令和5年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html

第7問 問題

 次の文は、公共測量におけるトータルステーション(以下「TS」という。)による距離の測定について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。

1.距離測定の誤差は、距離に比例するものとしないものに分けられる。距離に比例するものとして大気の屈折率による影響などがあり、距離に比例しないものに位相差測定誤差などが挙げられる。

2.距離を測定する際、気温が上がると測定される距離が短くなる。

3.距離を測定する際、気圧が低くなると測定される距離は短くなる。

4.TSについて、前回の機器検定から1年経過したので、国土地理院に登録された比較基線場にて検定を行った。

5.TSとミラーとの間で往復して戻った光波の反射波と発射波の位相差を測定し、これに光波の往復にかかった時間を乗じることによって距離を求めている。

第7問 解答・解説

正解は選択肢5です。

以下、解説。

選択肢1


1.距離測定の誤差は、距離に比例するものとしないものに分けられる。距離に比例するものとして大気の屈折率による影響などがあり、距離に比例しないものに位相差測定誤差などが挙げられる。

そのとおりです。

◎トータルステーションによる距離測定の誤差
【測定距離に比例する誤差】
・気象(気温、気圧、湿度)に関する誤差
・変調周波数による誤差

【測定距離に比例しない誤差】
・器械定数の誤差
プリズム(反射鏡)の誤差
・致
・致心誤差

選択肢2


2.距離を測定する際、気温が上がると測定される距離が短くなる。

そのとおりです。
TSの距離測定においては、気温が「上がる」と測定距離は短くなり、気圧が「上がる」と測定距離は長くなるなど、気象条件の影響を受けます。

気温が低いと…
1.空気が縮小し、空気の密度が大きくなる。
2.体積当たり、光を邪魔する空気の分子が多くなる。
3.屈折率が高くなる。
4.測定距離が長くなる。

気温が高いと…
1.空気が膨張し、空気の密度が小さくなる。
2.体積当たり、光を邪魔する空気の分子が少なくなる。
3.屈折率が少なくなる。
4.測定距離が短くなる。
よって、問題文の通り「気温が上がると測定距離が短く」なります。

空気の密度の大小が、屈折率の大小を決めます。
→気圧が上がると、空気の密度が上がりますので、屈折率も大きくなります。
→測定距離も長くなります。

この辺は、高校物理の知識(光の屈折、ボイルシャルルの法則)があれば何となく理解していただけると思います。

選択肢3


3.距離を測定する際、気圧が低くなると測定される距離は短くなる。

そのとおりです。
選択肢2の問で解説したものと同じ考え方です。

気圧が低いと…
1.空気が膨張し、空気の密度が小さくなる。
2.体積当たり、光を邪魔する空気の分子が少なくなる。
3.屈折率が少なくなる。
4.測定距離が短くなる。

選択肢4


4.TSについて、前回の機器検定から1年経過したので、国土地理院に登録された比較基線場にて検定を行った。

そのとおりです。

第1編 総則
(機器の検定等)
第14条
作業機関は、計画機関が指定する機器については、付録1に基づく測定値の正当性を保証する検定を行った機器を使用しなければならない。ただし、1年以内に検定を行った機器(標尺については3年以内)を使用する場合は、この限りでない。
前項の検定は、測量機器の検定に関する技術及び機器等を有する第三者機関によるものとする。ただし、計画機関が作業機関の機器の検査体制を確認し、妥当と認められた場合には、作業機関は、付録2による国内規格の方式に基づき自ら検査を実施し、その結果を第三者機関による検定に代えることがで
きる。
作業者は、観測に使用する主要な機器について、作業前及び作業中に適宜点検を行い、必要な調整をしなければならない。

作業規程の準則
作業規程の準則(付録1 測量機器検定基準)

選択肢5


5.TSとミラーとの間で往復して戻った光波の反射波と発射波の位相差を測定し、これに光波の往復にかかった時間を乗じることによって距離を求めている。

×TSとミラーとの間で往復して戻った光波の反射波と発射波の位相差を測定し、これに光波の往復にかかった時間を乗じることによって距離を求めている。
TSとミラーとの間で往復して戻った光波の反射波と発射波の位相差を測定し、これに光波の往復にかかった時間を乗じて、2でることによって距離を求めている。

光波の往復にかかった時間をかけると、往復の距離になってしまいますので、2で割ってあげます。

以上、正解は「選択肢5」でした。

ほかの問題も見たい方はこちら
測量士試験(午前)の過去問解説→記事一覧に飛びます。

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