試験問題の引用
令和3年の試験問題は国土地理院HPから引用しています。
https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/past.html
第9問 問題
次のa〜eの文は、公共測量における GNSS 測量機を用いた基準点測量について述べたものである。 ア 〜エ に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。
a.GNSS 測量では、GPS 衛星、準天頂衛星及び 「 ア (GLONASS or SLR)」 衛星を組み合わせて使用することができる。
b.GNSS 衛星の軌道情報は 「 イ (精密暦 or 放送暦)」 を標準とする。
c. 「 ウ(電離層 or 対流圏)」 における電波の伝搬遅延に起因する誤差は、2 周波の観測により軽減することができる。
d.GNSS 衛星から直接到達する電波以外に電波が構造物などに当たって反射したものを受信してしまうことを 「 エ (マルチパス or サイクルスリップ)」 といい、誤差要因の一つである。
e.準天頂衛星は、GPS 衛星と 「 オ (同じ or 異なる)」 軌道を周回している。
選択肢
ア | イ | ウ | エ | オ | |
1. | GLONASS | 精密暦 | 電離圏 | マルチパス | 同じ |
2. | GLONASS | 放送暦 | 対流圏 | サイクルスリップ | 異なる |
3. | SLR | 精密暦 | 対流圏 | マルチパス | 異なる |
4. | GLONASS | 放送暦 | 電離圏 | マルチパス | 異なる |
5. | SLR | 精密暦 | 対流圏 | サイクルスリップ | 同じ |
第9問 解答・解説
正解は選択肢4です。
選択肢a
GLONASS
a.GNSS 測量では、GPS 衛星、準天頂衛星及び 「 ア (GLONASS or SLR)」 衛星を組み合わせて使用することができる。
GLONASS衛星が正解です。
GLONASSはロシア、GPSはアメリカの人工衛星です。
ちなみにSLRとは、衛星レーザ測距(Satellite Laser Ranging)のことで、主に地球重力場、地殻変動の観測に用いられている。
選択肢b
放送暦
b.GNSS 衛星の軌道情報は 「 イ (精密暦 or 放送暦)」 を標準とする。
軌道情報に関して説明しているサイトがありましたので、引用します。
軌道情報(orbit information)とは、GPS/GNSS衛星の任意の瞬間の位置を計算するためのデータのことで、放送暦と精密暦の2種類があります。
放送暦は、測位信号中の航法メッセージに含まれる衛星軌道情報で、主な用途は、単独測位用の衛星軌道情報で現在の精度は衛星位置で数mです。この暦は精密測位や短基線の相対測位に使われることがありまするが、長基線の相対測位や精密単独測位に使用するには精度が不足しています。
精密暦は、全世界約370局の観測局網から得られたデータを使用して、後処理の精密解析より求められたものであり、GPS/GNSS衛星の位置情報に加えて高精度の衛星時計情報も含まれています。
GPS精密解析情報提供サービス
選択肢c
電離層
c. 「 ウ(電離層 or 対流圏)」 における電波の伝搬遅延に起因する誤差は、2 周波の観測により軽減することができる。
2周波の観測により軽減することができるのは、電離層における電波の伝播遅延に起因する誤差。
気象補正により軽減することができるのは、対流圏における伝播遅延に起因する誤差。
選択肢d
マルチパス
d.GNSS 衛星から直接到達する電波以外に電波が構造物などに当たって反射したものを受信してしまうことを 「 エ (マルチパス or サイクルスリップ)」 といい、誤差要因の一つである。
マルチパス:観測点付近の高層ビルや車などの金属製品の影響により、GNSS衛星の電波が障害物に反射し、正確な位置の計測が困難になる。
サイクルスリップ:GNSS衛星の電波が受信できずに観測データが不連続となることで、位相記録が結束となる。観測誤差の原因となる。
選択肢e
異なる
e.準天頂衛星は、GPS 衛星と 「 オ (同じ or 異なる)」 軌道を周回している。
日本の準天頂衛星みちびきは、日本付近上空を8の字を描くような軌道。
GPSは約12時間周期で地球を周回。
正解は「選択肢4」
↓令和3年測量士試験(午前) 解答解説↓
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