問題
〔No. 16〕
次の文は,公共測量における地上レーザスキャナを用いた地形測量及び三次元点群データ作成について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
1.地上レーザスキャナから同じ水平距離内においては,上り斜面に向けて観測を行った場合より下り斜面に向けて観測を行った場合のほうが,多くの観測点を得ることができる。
2.地上レーザスキャナから見た放射方向の座標精度の悪化を補うためには観測点密度を高める必要があり,その方法として同一の場所から器械高を変えて観測することが有効である。
3.地上レーザスキャナを用いた地形測量における数値図化では,オリジナルデータから地形,地物などの座標値を取得し,数値図化データを記録する。
4.地上レーザスキャナを用いた三次元点群データ作成においては,地上レーザスキャナを用いて観測した三次元観測データから地形を捉えられなかった点を除去する必要がある。
5.地上レーザスキャナを用いた三次元点群データ作成においては,反射強度データを使用する必要はない。
解説
明らかに間違っているのは選択肢「1」
選択肢1
誤
1.地上レーザスキャナから同じ水平距離内においては,上り斜面に向けて観測を行った場合より下り斜面に向けて観測を行った場合のほうが,多くの観測点を得ることができる。
下り斜面に向かって観測した場合、下り斜面の点群が取得間隔が広がってしまします。
第3章 地上レーザ測量
作業規程の準則
第144条 地上レーザ観測は、地形、地物等に対する方向、距離及び反射強度を観測するものとする。
2 観測の方向は、地形の低い方から高い方への向きを原則とする。
選択肢2
正
2.地上レーザスキャナから見た放射方向の座標精度の悪化を補うためには観測点密度を高める必要があり,その方法として同一の場所から器械高を変えて観測することが有効である。
座標精度の悪化を補うためには観測密度を高めることが有効です。
第3章 地上レーザ測量
作業規程の準則
第144条 地上レーザ観測は、地形、地物等に対する方向、距離及び反射強度を観測するものとする。
9 同一箇所から複数回観測する場合は、それぞれ地上レーザスキャナの器械高を変えることを原則とする。
選択肢3
正
3.地上レーザスキャナを用いた地形測量における数値図化では,オリジナルデータから地形,地物などの座標値を取得し,数値図化データを記録する。
そのとおりです。
第3章 地上レーザ測量
作業規程の準則
第153条 本章において「数値図化」とは、現地調査の結果を基に地上レーザ観測で得られたオリジナルデータから、地形、地物等の座標値を取得し、数値図化データを記録する作業をいう。
選択肢4,5
正
4.地上レーザスキャナを用いた三次元点群データ作成においては,地上レーザスキャナを用いて観測した三次元観測データから地形を捉えられなかった点を除去する必要がある。
正
5.地上レーザスキャナを用いた三次元点群データ作成においては,反射強度データを使用する必要はない。
作業規程の準則には載っていませんでしたが、「地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」に下記の記述がありました。
【序】概説
地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)
2.地上レーザスキャナを用いた公共測量とは
地形測量では、地上レーザスキャナで取得された高密度の標高値群とその反射強度(これを「三次元観測データ」とよぶ)を基図として地物等を描画していく。つまり、地形測量は、三次元観測データを基に新たな情報を作成していく測量である。一方、三次元点群データ作成は、三次元観測データから地形を捉えられなかった点を除去していき、地形を標高値の集合だけ(「数値地形モデル」あるいは「DTM : Digital Terrain Model」とも呼ばれる)で表現する測量である。三次元点群データ作成では、反射強度データを使用する必要はない。
令和元年測量士試験においても地上レーザスキャナに関する出題がなされています。
作業規程の準則だけでなく、 地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案) にも目を通しておくとよいでしょう。
↓令和2年測量士試験(午前) 解答解説↓
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